朝からポテチです。
みなさんはRun Girls, Run!が歌う「四季曲」をご存知でしょうか。ぼくはご存知です。今日はRun Girls, Run!が歌う四季曲についてですね、ありったけの想いと深読みとを書き連ねて行こうと思います。
実際に「四季曲」というタイトルの楽曲があるわけではなく、Run Girls, Run!が歌う4つの楽曲「サクラジェラート」「秋いろツイード」「スノウ・グライダー」「水着とスイカ」を総称して、「四季曲」または「季節曲」と呼んでいます。
それぞれ日本の四季に準えた情景・感情を歌う楽曲であり、四曲全て、作詞:只野菜摘、作曲・編曲:石濱翔(MONACA)の布陣で手がけられています。これらの楽曲単体の完成度も然ることながら、一貫して一人の少女の恋の物語を描いていることもあり、音・描写・表現のどこをとってもとても高い評価を得ています。しかし、四季曲の真の魅力はさらに奥深くにあります。
四季曲が持つ真の魅力、それは“最初から四季曲ではなかったこと”と“聞き手が解釈次第で自由に物語を組み換えられる余白”の2点にあります。
四季曲では、“四つの季節を巡って少女の葛藤と幼なじみへの恋心を描く”という一貫した物語が描かれます。しかし、四曲全てが当初からその物語を内包していたわけではありません。
リリース後のとある時に、その物語を付与されたのです。
さらに、四季曲の物語は、描かれる心情や背景をも、聞き手の解釈次第でその起承転結を自由に並び替えることができるほどの“余白”を併せ持っています。
この2点こそ、四季曲がリリース以降、長きに渡って愛され、そしてRun Girls, Run!が解散してからもきっと愛され続けていく所以です。
さて、今日は私が、Run Girls, Run!の四季曲考察に真の終止符(ピリオド)を打ちたいと思います。Run Girls, Run!に出会って2年、ずっとずっと考えてきたお話です。いよいよRun Girls, Run!の解散まで残り半年、私はついに、私の答えを導きました。
見ててくれ、これがワイの答えや!!!(っ'-')╮ =͟͟͞͞🍾🔥ブオン
- まずは:知らないあなたのための四季曲紹介(リリース順)
- そもそも:「四季曲」という枠組みについて
- 本題:四季曲を深読みする
- 私の四季曲デッキ
- おわりに:四季曲は自由だ
- 最後に:オタク早口プレゼン選手権・ランガ早口プレゼンリレーについて
まずは:知らないあなたのための四季曲紹介(リリース順)
サクラジェラート
2018.2.28 1stシングル 「スライドライド」カップリング曲
作詞:只野菜摘
作曲・編曲:石濱翔(MONACA)
Run Girls, Run!がカップリングにて物語を紡ぎ、後に“四季曲”と呼ばれる楽曲の一曲目。
石濱らしいキャッチーなキュートなメロディが特徴のEDM。少し和風味を感じる楽曲となっている。(MONACAwikiより)
秋いろツイード
2018. 10.31 3rdシングル 「Go!Up!スターダム!!」カップリング曲
作詞:只野菜摘 作曲・編曲:石濱翔(MONACA)
二胡の音色が彩るオリエンタルな香り漂うFuture Bassサウンド
季節は秋、幼なじみの彼への想いと、自身の内に潜む葛藤を吐露するかのような楽曲。
スノウ・グライダー
2019.11.27 6thシングル「Share the light」カップリング曲
作詞:只野菜摘 作曲・編:曲石濱翔(MONACA)
四季曲の三曲目、起承転結の“転”を司る曲。Future Bassサウンドとドロップまで張り詰める緊張感が心臓に悪い一曲。
幼なじみの彼の噂を耳にし、哀しすぎる心情を降り積もる冷たく重い雪になぞらえた楽曲
「サクラジェラート」、「秋いろツイード」に次ぐ四季シリーズの第3作目となる楽曲。
哀愁感の漂うスラップベースの枯れた音が只野さんの切ない名歌詞と合わさって、エモーショナルさがマシマシのハウスミュージックとなっている。(MONACAwikiより)
スノウ・グライダーリリース時のインタビュー
厚木:私、ビックリしたの!「サクラジェラート」の時はまだ甘酸っぱさがある切なさで、可愛い感じの恋愛だったのに。そこから「秋いろツイード」になって心に何か穴が空いちゃって。そこから寂しさが出てきて。「スノウグライダー」はもう辛いの!心えぐられましたよ(笑)。『RGR』6thシングル『Share the light』インタビュー より『RGR』6thシングル『Share the light』インタビュー | アニメイトタイムズ
水着とスイカ
2020.5/201stアルバム「Run Girls, World!」収録
作詞:只野菜摘 作曲・編曲:石濱翔(MONACA)
「サクラジェラート」、「秋いろツイード」、「スノウ・グライダー」に続く、四季シリーズ最後の楽曲。
最後の楽曲ということで所々今までの詞のフレーズが散りばめられている集大成感の強い歌詞となっている。
2000年代前半頃の邦楽のヒットチャートを賑わせていたHip-hopみを感じる楽曲となっている。(MONACAwikiより)
タイトルからは裏切りすらもを感じるノスタルジーな曲調に、軽快かつひとり呟くようなラップ調が特徴的な一曲。
一度心にケジメをつけつつも揺れ動くカノジョの心象が風景の描写から切実なまでに伝わってくる
四季曲過去3曲の歌詞を引用しており、少女が一連の片想いに決別するまでの心情が伝わる。
林:『水着とスイカ』は……正直裏切られましたね。夏の楽曲と言ってもシリーズ的に明るい曲が来ても違うなとは思っていたんですけど。まさかラップとセリフの楽曲が来るとは。夏らしい絶妙なノスタルジックさが出ている曲ですよね。そして、歌詞の中で登場する女の子がこれまでの楽曲から大きく変化しているのが特徴なんですよ。主人公の女の子が男の子のことを追い掛けていたのに、夏になったら立場が逆転してるんですよね。
(デモ音源を聴いた率直な感想について)
林・森嶋・厚木:やっちまった(ユニゾン)。
森嶋:やっちまった、ですね。これに尽きます。
Run Girls, Run!1stアルバムへの軌跡と現在地|インタビューより
四季曲で唯一、アルバム収録のため、inst版がありません。あまりにも損失です………。
そもそも:「四季曲」という枠組みについて
そもそも、Run Girls, Run!のカップリング4曲はリリースした初めから「四季曲」という枠組みが設けられていたわけでも、発売が決められていたわけではありません。
「サクラジェラート」で描写される情景は、背伸びしたおしゃれをしようと試みるも季節にそぐわない格好をしてしまった主人公が「きみみたいでどこか秘密の顔をしている人」と出くわした気まずさを歌うものです。
「秋いろツイード」で描写されるような「おしゃれしたい 変わりたい でもわからない」と嘆く「地味」な「わたし」の心情とは、繋げようにもどこがちぐはぐ感が産まれます。また、「秘密の顔をしてる人」と「彼=ずっと友達で幼なじみ」が同一の人物か否かを結びつけるには、この2曲の世界観の外側、同一の作詞・作編曲者というこじつけが必要な状態でした。(リリース当時の感想や、1stライブでの初披露時の反応など知りたい)
当然「サクラジェラート」リリース時に「四季曲の第1曲目です」というような発言はなく、製作の意図もまだなかったはず。
――カップリングの「サクラジェラート」は切ない恋の歌になっています。
林 「カケル×カケル」や「スライドライド」のディレクションは「力強く」だったんですけど、今回は「切なく」だったので、難しかったです。最後にある私のパート"会いたかっただけ"は「息を多めに、切なさがあふれている感じで」と言われました。
森嶋 あっちゃんの声にあった曲だなと思います。今までの曲とはまた違った楽しみ方があるんじゃないかな。
厚木 最初にメロディを聴いて歌詞を読んだときに、「はかなげで優しい曲だな」と思って、そういう方向性で作り込んでいったんです。
声優ユニット、Run Girls, Run!が1stシングル「スライドライド」を語るより
【Run Girls, Run! 1st LIVE TOUR 止まってなんかいられない】
— Run Girls, Run!公式 🎤5周年ツアー開催中🎤✨ (@rgr_official_) 2018年10月6日
今回のツアーでは、過去まだライブ歌唱をしてこなかった曲「サクラジェラート」も歌唱決定しました!
振り付けを厚木さんが担当します!本人からのコメントも到着です!#RGR_JP
※先程のツイートに誤字がありましたので再ツイートです pic.twitter.com/B6GmFrF5Zf
「秋いろツイード」発売当時も「Run Girls, Run!初の漢字曲!」という紹介のされ方。
カップリング曲である「秋いろツイード」Run Girls, Run!楽曲初の、漢字です!!!!!!!
Run Girls, Run! 「走れ!-那奈美-」より
Run Girls, Run!さんに「秋いろツイード」を書かせていただきました。「サクラジェラート」からの季節は秋でということでしたが、ランガちゃんたちの声の魅力がつれてきた詞だと思っています。今の旬をぜひ聴いておたしかめください。 https://t.co/7822cERsPW
— 只野菜摘 (@tadanonatsu) 2018年10月30日
「サクラジェラート」がどんな曲かと説明するとき、Run Girls, Run!の数少ない持ち歌にあるカップリング曲が“只野菜摘・石濱翔タッグのEDM調曲だから絶対に聴いた方がいい”というように扱われていたはずで、「四季曲」という扱われる前からも、単一で十分通ずる強さの曲であった。(当時のオタクの感想や楽曲への所見などあればぜひ教えて欲しいです)
そして10月、プリチャンタイアップ1年目のさなか、「プリマ☆ドンナ?メモリアル」に次ぐタイアップ曲が前作と同製作タッグによる「秋いろツイード」と判明、そこで歌われた歌詞中の女の子には、ずっと友達で幼なじみの「彼」がいるという表現があったが、春と秋の2曲は、まだこの時点では明確に結びついていなかったはずです。
では四季曲の前半2曲が「四季の物語の曲」という1人の女の子の物語となった転換点はいつなのでしょうか、
総じてまだ結びつかない距離にあった2曲を結びつけた曲こそ、リリース3曲目となる「スノウ・グライダー」です。
「スノウ・グライダー」にて、「秋いろツイード」で語った幼なじみを「きみ」と呼ぶことで、「サクラジェラート」の「きみ」との繋がりは明確となりました。
さらに、秋に歌われた葛藤を物語の“起承”にみたて、「彼=きみ」の引越しという電撃的とも言える“転”が与えられることで、初めて「四季曲」というひとつの文脈が生まれ、「サクラジェラート」にまで遡って文脈が付与された、と考えるのはどうでしょうか。
もちろん曲中でもわかりやすく“春からはお引越しするって”という歌詞では、春・秋・冬と振り付けを担当している厚木那奈美さんが「サクラジェラート」のサビの振り付けを採用していたりする。秋曲と明確に繋がる主人公の感情の浮き沈みに、それまでは明確に繋がっていなかった春の曲を同一の世界線に引っ張ってきたのです。
また、「季節曲」という表現を探してみると、Run Girls, Run!の公式アメーバブログにその初出がありました。
特に、初披露の「スノウ・グライダー」から始まった季節曲メドレー!!!❄🌸🎇🍁
私はね、サクラから秋いろ、そしてスノウ・グライダーって物語が繋がってるのかなぁって思うんですよ。
今回逆に、スノウ・グライダー→サクラ→秋いろって歌った流れが、私はすごい良いなって思って。
ここからは本当に、私の個人的な解釈だから、
あたたかく受け止めてほしいんですが、とある雪の日、彼が離れて行ってしまうということを聞いて、ショックを受けた主人公が、彼とすごした甘酸っぱい日々を思い出す…。
っていうストーリーが見えるなぁって!サクラと秋色の間に聴こえる、花火の音も
「春と秋の間には、一体なにがあったんだろう!」ってわくわくするじゃない?!
提案してくれたマネさん、さすがです✨Run Girls, Run! 「月曜日のはやまる122٩( 'ω' )وここ」より
https://ameblo.jp/rungirlsrun/entry-12548897229.html%E2%80%AC
他にも言及されている箇所があるかもしれないので、当時の記事などあればぜひ教えて欲しい。
どれぐらい思い入れが強いかと言うと、発注頂く前から勝手に作っていました。
— 石濱 翔 (@MONACA_ishihama) 2019年11月24日
秋いろツイードを作っている時にもし冬曲も書かせて頂けるならこんな感じにしよう、というメモ的なフレーズが秋いろツイードのセッション内に沢山残っていたのでそこから組み上げました。
— 石濱 翔 (@MONACA_ishihama) 2019年11月24日
ランガちゃんの「スノウ・グライダー」。じつは詞のほうも、発注をいただく前からかってに、冬がきたらこういうお話かな……と考えていました。春「サクラジェラート」秋「秋いろツイード」につづく冬曲ですが、夏もくるとよいですね。 https://t.co/6zbtwwlVjP
— 只野菜摘 (@tadanonatsu) 2019年11月28日
小まとめ:四季曲の良さ
初めから「四季曲」という枠組みが決められていたわけではなかったからこそ、その物語が見事に完結したことが一際輝く、
さらには、完成した楽曲をただ届けるだけでなく、聞き手にその解釈や背景の深読みどころか、物語の順序さえも自由に遊ばせるほどの余白を持たせているところこそ、四季曲が他の追随を許さないほど画期的な所以である、そう私は断言します。
では、いよいよ、そんな四季曲が内包する物語と、その行間にある余白の深読みを展開していきましょう。
本題:四季曲を深読みする
ここからは四季曲が描く主人公と幼なじみの淡い恋の物語と、その行間にある余白の深読みを好き勝手に行っていきます。
描かれた情報を整理する
まずは楽曲内で描かれた登場人物ごとに情報を整理していく。主な登場人物は5人。
- 主人公ちゃん:この楽曲世界における心情の語り手。学年については高校1年生と推測(詳細は後述)“長い髪も黒いままで地味”な女の子。両親に“ほしいもの、したいことまだ早いよと言われ”ており、“アルバイトも禁止されて”いる。“ずっと友達で幼なじみ”の“”彼/きみ”がいる。“オシャレしたい、変わりたい でも分からない”、“夢を灯してくれるもの”を探している。彼が春に引っ越した後の最初の夏休みに、ギンガムチェックのビキニデビューをした。
- 幼なじみのきみ=彼:幼なじみ、彼くん。主人公ちゃんと“ずっと友達で幼なじみ”。冬に“春からはお引越し”することを幼なじみに打ち明けていなかった。“お引越しから最初の夏休み”に地元の海に遊びに戻ってきている。唯一話した言葉は「また会いたい」「連絡するよ」の二言。主人公ちゃんへの想いや実際の親密度、事実関係は考察の余白が大きい。
- ピンク(の化身):「サクラジェラート/水着とスイカ」に登場主人公ちゃんの知らない、“きみ/彼”が仲良くしている人。“バレエとか習ってたり都会に住んで私立に通うような”、たくさんいるキレイな子の象徴。主人公ちゃんが成りたい憧れの姿でもあるが、主人公ちゃんは、幼なじみの彼に近づくピンクを快く思っていない。
- ママ:主人公ちゃんのお母さん。「秋いろツイード」/「水着とスイカ」に登場。主人公ちゃんのアルバイトを禁止している。ほしいものやしたいこと(髪を染めたりアルバイトをしたり)を「まだ早いよ」と釘をさしている様子。ツイード模様の秋服(コートかな?)を主人公ちゃんにすごく似合うと思って買ってあげた。しかし、主人公ちゃんはもっとキラキラしたものに憧れている。(過保護ぎみ?)
- パパ:「秋いろツイード」に登場。娘である主人公ちゃんの出かけ先が気になり「どこへ行くの」と問いかけ「図書館までだよ」と嘘をつかれる。主人公ちゃんからすると、パパは都内に出かけたくらいでは叱らない様子だが、思わず嘘をついてしまったのは、門限を設定しているような厳しい家だからだろうか。また、主人公ちゃんの家族の家は、「駅からバスに乗って30分、森のような山のような地平線の方角にある」とのことで、23区にあてもないまま迎えるような場所であれば、南関東近郊の郊外、千葉県の総武線上か埼玉県かと思われる。家族の中で母親と父親のどちらの教育方針が反映されているのかまでは考察の余地がある。
主人公と幼なじみの関係を深読みする
次に、主人公ちゃんの思い込みの度合いと彼くんの気持ちを、描かれた事実や主人公ちゃんの心情の描写から、だいぶ勝手に深読みしていく。
幼なじみの彼くんの心情や、2人の事実関係については完全に聞き手の解釈次第であるため、考えられる解釈を3パターンを提示した上で、ここでの私の解釈の立場を表明したい。
- A:幼なじみで互いに想い合っている2人。普段からなにげないやりとりを続けている。周りから「あいつら付き合ってね?」と噂されるが、お互いに幼なじみゆえの距離感のまま思春期に突入してしまい、特別な男女の関係には踏み切れない。(勝手に幸せになってくれ)
- B-1:幼なじみではあるが、幼少期に家族ぐるみで過ごした程度で、中学・高校では思春期故に疎遠。互いに想いあってはいるが、日常で特に話すことはない。誕生日が近づくとお互いソワソワし出す。(付き合っちゃえよ)
- B-2:幼なじみではあるが、幼少期に家族ぐるみで過ごした程度で、中学・高校では思春期故に疎遠。主人公ちゃんは変わらず幼なじみの彼くんを想い続けているが、彼くん側は主人公ちゃんのことを昔は仲が良かった女の子くらいにしか思っておらず、特に恋愛対象とも思ってない。ほぼ一方的に主人公ちゃんが特別な想いを募らせてはいるが、その気持ちを幼なじみくんに伝える機会もアピールも全くしておらず、一人相撲状態。(あ〜〜!!!!!!!!!重!!!!)
- C 実は幼なじみでもなんでもなく、ただ(幼)小中高と同じ地区で同時に進級しているため顔と名前を知っているが、主人公ちゃんが一方的に認知しているだけで、「彼」とは二人で話したことも遊んだこともほとんどない。(叙述トリック)
2人の関係性は、幼なじみちゃんの主観的な語りだけでは判別できないため、聞き手がその余白を埋める他ありません。そこには聞き手の物語への願望が反映されます。
ここからの考察では、特に言及のない限り、「B-2」の世界線:主人公ちゃんは一方的に幼なじみの彼くんを想い続けているが、彼くん側は主人公ちゃんのことを昔は仲が良かった女の子くらいにしか思っておらず、特に恋愛対象とも思ってない。
前提で話を進めていきます!このあたり聞き手の理想によってだいぶ変わると思うので、ここを自由に想像して、あなた好みの四季曲の世界を構築してほしい!この先、私もあったかもしれないA〜C関係のIF語りもします!
そう、四季曲は自由だ!(ドンッ)
私の四季曲デッキ
私が描く四季曲デッキがこれです
(春:プロローグ)→秋→冬→春(2番)→夏→(春:エピローグ)
高校1年生:秋→冬→高校2年生:夏→春(3月)の順番です。私の四季曲物語の本編は秋から始まります。
まず、高校2年生の3月(もうすぐ進級する早春)、未来の主人公ちゃんがこれまでの1年間を振り返るというプロローグから物語が語られ、本編が秋から始まります。ここで「サクラジェラート」1番をプロローグとします。(※後述)
- サクラジェラート1番:プロローグ。高校2年生早春(3月)
ここから本編兼回想
エピローグ
- サクラジェラートラスサビ:高校2年生の早春。
デッキ解説:①時系列
では、四季曲の時系列を考えられる限り考察していきます。四季曲はおよそリリース順に聞くことでその物語は綺麗にまとまりますが、ランダムに聴くことでも別の角度の物語が成立し、異なる感情を読み取ることができます。これが四季曲の良いところです。描かれた出来事から、考えられる時系列の順番を整理していきます。
まず、リリース順では、春→秋→冬→夏ですが、前述したとおり、春、秋は独立して生まれた楽曲であり、冬曲によって後から四季曲に組み込まれた楽曲です。明確に時系列の順番を示唆したのは、冬→夏、つまり“お引越しから最初の夏休み”の箇所のみです。そして、「秋いろツイード」内の“アルバイトも禁止されて長い髪も黒いまま”という描写から、同世代でアルバイトや髪を染める行為が行われている世代を考え、小学生、中学生という可能性をオミットします。
ひとりで“電車に乗り、あてもないまま23区”へ向かい、誕生日のプチプレゼントを買える行動力くらいは小学生高学年、中学生にもあるかもですが。また、大学生の可能性については、彼のお引越しがおそらく家族と共に行われており、一人暮らしを行うタイミングではない…と考えています。大学生でそこまで家族と行動を共にする幼なじみの彼くんや、アルバイトの禁止、髪染めの禁止、門限の指定はさすがに描写に不自然さがあります。さすがに親に難アリで別の歌に…
ということで、主人公ちゃんは高校生とします。そして、学年は、引っ越した次の夏に地元の海に遊びに来るぐらいですから、受験生では無いだろうと考え、1年生→2年生の時期の物語とします。
この3つの時系列を固定し、物語を考察していきます。そして、後述するある理由から「サクラジェラート」の時系列は変動するものとします。
ここにで、「サクラジェラート」を分割します。
「サクラジェラート」1番で描かれているのは主人公ちゃんのプロローグですが、2番はそれまでの高校1年生の目まぐるしがった秋と冬の続きの苦い思い出です。(後述するQA3)そして、ラスサビでは1番サビの歌詞をリフレインしています。J-popでは当たり前のような構成で、2番から1番の時系列、つまり高校2年生の早春(3月)に進み、幼なじみへの恋心をを振り返り終わります。彼の気持ちが分からず、悲しんだ冬の“もういいの”、夏に悟った“寂しかったいろんな季節”と“地味な子へと戻ってること”への怒り、それら全て、地味な自分が“向こう側”へ行くための足がかりであり、そのために“会いたかっただけ”だったんだな…と、当時を俯瞰したように四季の気持ちを振り返るのでした。
前もこんな話をした気がしたんですが、以前4周年ライブ仙台公演の感想で初めて四季曲を現地で浴びた時にも書いていました。また少し解釈が変わっているのも良いですね。
(補足)サクラジェラートは読み切り作品
この四季曲において、もっとも異端な曲はなにか、それは「サクラジェラート」です。それは、この曲がいわゆる四季曲本編における“読み切り作品”の位置づけにあたるからです。「サクラジェラート」は当初こそ単独のカップリング曲でありながら、後の作品の世界観に影響を受け続けました。なぜか。それは前述のとおり、「サクラジェラート」はリリース後に後付けで四季曲に「成った」からです。「サクラジェラート」制作当初は、らんがちゃんのフレッシュさをサクラの季節に重ねて歌ったカップリング曲というものであり、曲単体での劇中内の物語もまだ明確に固定されてはいなかった。これは読み切り作品と同じ世界観・キャラクターを連載作品に起用する際に起こる矛盾です。そのため、「サクラジェラート」は四季曲の中で行間の余白が最も広くとられており、秋、冬と季節曲の物語が展開されていく度に、物語の変動の影響を受け、その姿を変えていきました。リリース後、3回の変動を受け、四季曲が出揃うことで、名実ともに四季曲の物語のひとつとして、補完された。同じ歌詞の中でその厚みを増し、その姿を変えていったこの曲は、ある種ジョーカー的存在と言えます。考察する上でのノイズ、つまり枝葉の矛盾も多いですが、読み切り作品の時系列を本編にも自由に組み込める、という考察ができる余白が多いとも考えられるのが、四季曲のいい所です。
デッキ解説:②ワクワクご質疑応答タイム
さて、この時点で考察する上でのノイズ、つまり矛盾について、考察ができる余白と共に整理しようと思います。
- Q1.幼なじみの彼くんとの連絡はあるのか。秋に買った誕生日のプチプレゼントは渡せたのか
- A1.連絡はしてないしプチプレゼントは渡せてない。これは前述したB-2世界線の話ですが、主人公ちゃんは一方的に幼なじみの彼くんを想い続けているが、彼くん側は主人公ちゃんのことを昔は仲が良かった女の子くらいにしか思っておらず、特に恋愛対象とも思ってないので、中・高校生になってスマホをもらって連絡先は交換したものの、用がない時にだらだら連絡できるような仲ではない、と思っています。仮にA、B-1(友達以上恋人未満)だったら、もっともどかしいやり取りとかあったのかもしれませんが、うちの四季曲デッキにそんなものはありません…。
- Q2.「春からのお引越し」は大学進学で一人暮らしする話では?
- A2.そうかも……。特に受験の描写がないだけで、高校3年生→大学1年生の可能性はありありなんですよね。「お引越し」という表現が、なんか家族で移動する感じなので。勿論それでも大学進学を機に「名前は知っている」その街に行くかもしれませんが…いやあんま無いだろ…という考察です。四季曲の文脈無しで曲単体で考えれば、むしろ「お引越し」と「手紙」の描写には、幼稚園~中学生前後の幼さも感じます。独立した歌として、もっと幼い2人の話と捉えてもいいかもしれません。
- Q2.5「恋人より近い存在に」とあるが、友達以上恋人未満なのか?
- A.2.5主人公ちゃんの願望止まりであり、実際は元幼なじみの現在友達未満…じゃないかな…。正直、主人公ちゃんって結構思い込み強い方だと思ってます。プチプレゼントも渡せてない(設定)だし、お引越しのニュースも自分には当然言うものだと思ってたわけで…。幼なじみだったのも幼稚園・小学校の頃の話なわけで(多分)、中学高校と、疎遠になってたと思うんです。だから、“誰よりもね君の理解者でいたいよ”と“自分に言い聞かせて 涙をごまかして”たんですよね。はやまるはインタビューでこう答えてます、
林:「スノウ・グライダー」はね。“ある冬の日に片思いの彼を空港まで送りに来るの。本当は言いたいことあるんだけど、上手く伝えられないから手紙で書いてきた。でも、結局渡せなくて「いってらっしゃい」しか言えない。それで手紙をクシャッとやっちゃう”みたいな─。
『RGR』6thシングル『Share the light』インタビュー より『RGR』6thシングル『Share the light』インタビュー | アニメイトタイムズ
程度は違いますが、やはり思いを伝えられないあたりそういうことなんですよね。そもそも高校生で手紙って、だいぶ重くないですか。
- Q3.「サクラジェラート」2番の時系列、どういうこと?
- A3.「ピンクの化身」の存在がヒント。「サクラジェラート」2番Bメロから始まる情景描写には、“君みたいでどこか秘密の顔をしてる人”が出てきます。これは隠し事をしている知り合いなわけですが、秋、冬の物語を経ると、「春からお引越しするはずの幼なじみの君が知らない誰かといる」わけです、ここでポテチの深読みポイント、ここの幼なじみの彼くんの心情としては、“バレたくないけど見つかりたい”なんです。だから、転校する春に、付き合っていることを隠していたけど、転校してしまうから、お別れしよう、という話か、転校するけどまた会いに来るね、的な話をしていた恋人がいたってことだと思うんです。深読みですが。ピンクの化身ちゃんは都会にいるようなキレいな子だと、「秋いろツイード」で描かれていますが、主人公ちゃんの知り合いかどうか、同じ学校の人なのかは不明です、同じ街にいるキレイで垢抜けた子が都会に住んでる子に見えたのかもしれません。とにもかくにも、幼なじみの彼くんの逢瀬に出くわしてしまって、“いけないものを見てしまったと気まずさの色が濃くなる”主人公ちゃんの苦い記憶は、秋の前の物語ではなく、冬に直接告げられなかったお引越しの後の時系列の話だからこそ、心に刺さるのだとおもうのです。
- Q4.“昨日焦って冒険したんだ ビキニデビューギンガムチェック”“今日のギンガムチェック ママが買ってくれたんだ”とありますが、このビキニは主人公ちゃんが買ったのか、それともママが買ったのでしょうか?
- A4.自分で買いました。ママが買ったのは嘘です。ここの解釈なんですけど、歌詞的に、“昨日焦って冒険した”んですよ、そして、このギンガムチェックのビキニという攻めた服は、主人公ちゃんにとって““オシャレしたい変わりたい”“向こう側の壁”に冒険したメタファーそのものなんです。ママが買ってくれた”ツイード生地の洋服の対比になってます。だからこそ、“水着を脱いで秋が来たなら地味な子へと戻ってる”んです。また去年ママが買ってくれた秋服を着るからです。メタ的には、過去3曲の歌詞を引用するギミックとして挿入されています。実際には、水着を買うお金を「ママが」出してくれた、くらいのニュアンスかと思います。それを気恥しさにママが買ってくれた、と半分嘘をついたのだと言えます。自分で買った、冒険したんだ、とは言わないです。地味な子なので。
- Q5.“ずうっと ずぅっと忘れないよ”は、どんな気持ちなのか
- A5.これは幼なじみの恋心そのものではなく、この失恋の思い出を忘れない、という話なのかなと。主人公ちゃんはCメロにて“また会いたいね 連絡するよ”とついに幼なじみの彼に声をかけてもらっています。念願の気を引くチャンスですが、「もういいの」と一度は過去の自分が怒り距離を置いたはずの相手に、“嬉しいことを言われて許してる”自分がいるわけです、そして最後、“ずうっと 忘れないよ”とノスタルジックに呟くのですが、ここの忘れないよ、もう幼なじみくんの事は好きでもない状態で、幼なじみくんがむしろ気が向いてる、主人公ちゃんが優勢な立場なわけで、これを森嶋優花は吹っ切れたがゆえの「あざとさ」と表現しています。
林:ソロバージョンで聴いて欲しいくらいだよね。
厚木:そうだね。私は全員分を聴いたんだけど、はやまるのソロバージョンを聴いたら「鼓子ちゃんが大人になっちゃった……」って思っちゃって(笑)。
林:あはは(笑)。
厚木:もっちーのソロもすごいんですよ。「ずっと ずっと 忘れないよ」のフレーズに森嶋優花が出てますね。
――なるほど。どんな森嶋さんが出ていますか?
厚木:(力強く)いい意味で超絶あざとい!
森嶋:あーあはは。バレた(笑)?
厚木:「ずっと ずっと 忘れないよ」って言ってるけど、絶対明日には忘れるもん!
森嶋:これはですね。女の子側の立場に立っているのですよ。これまで(これまでの楽曲の世界観で)散々切ない思いをしてたじゃない?
林:そうだね。
森嶋:でも、ずっと辛い思いをしていられないわけよ。最後くらい吹っ切れた感じをね。
――表現したかったと。
森嶋:そうですね。吹っ切れたがゆえの「あざとさ」ですよ。
Run Girls, Run!1stアルバムへの軌跡と現在地|インタビューより
春にはそんな若い自分を思い出して、垢抜けた自分になるべく、次の恋を探しているのでしょう。女ってこわ〜い。幼なじみの彼くんは幼なじみだしわんちゃん…とか思ってんでしょうね。なめんな!✊😡💕❤️🔥
「水着とスイカ」は夏曲だからといって勢いのある曲にするのではなく、落ち着いたちょっと懐かしい雰囲気の曲にしようと「スノウグライダー」を作っている時から考えておりました。
— 石濱 翔 (@MONACA_ishihama) 2020年5月6日
おまけ:IF世界線
IF世界線Aにおいては、幼なじみたちが友達以上恋人未満のため、「さよならアンドロメダ」が幼なじみ視点ソングとして挿入されます。お引越しを伝えられず、お別れを葛藤する幼なじみくんの感情がこの曲に詰まっています。きっと彼くんもこの曲を聴いて自分を重ねたことでしょう。)
イノタクパイセンありがとう御座います…!
— 石濱 翔 (@MONACA_ishihama) 2018年11月3日
“秋いろ”の編曲に悩んでいた時に同じく秋モチーフの超絶神曲「さよならアンドロメダ」からインスパイアされ、Dメロから倍テンにしてリキッドファンクっぽくしました…🙏🙏🙏🙏
おわりに:四季曲は自由だ
如何だったでしょうか、こんな長くなってしまうとは思わなかったです。それだけ素晴らしく、深い四曲だということが伝わったでしょうか。全ての辻褄が合わなくとも、その物語が更新されていく度に歌詞と歌詞の行間に物語が生まれることと、その余白をあえて広く取ってくださり、オタクが妄想の幅を広げやすいように物語を紡いでくれている、只野先生の采配こそ四季曲の魅力だと思うのです。
そして各曲単独で絶対的に揺るがないその曲の価値を文字通り生み出した作編曲の石濱先生が全編にわたって共作しているからこそ、その世界観の統一と、オタクが安心して物語を好き勝手遊べ得る説得力が生まれているのだと思います。
最後に:オタク早口プレゼン選手権・ランガ早口プレゼンリレーについて
Run Girls, Run!が2022年9月25日(日)に、5周年ライブツアー「Run Girls, Run! 5th Anniversary 〜Get set,Go!」東京公演を予定しています。
2023年3月31日に解散を発表して以来、現在(2022年9月9日時点)発表されている最後のイベントとなります。解散までの予定が未定の中で、精一杯イベントに向けて界隈を盛り上げるべく、キッチンさん@konbanwug が主催する#オタク早口プレゼン選手権の派生スペース、#ランガ早口プレゼンリレーが行われます。
私は9月13日(火曜日)22:00から行います。
【9/12(月)22時から!】
— キッチン!固ツ有 (@konbanwug) 2022年9月9日
12夜連続で総勢14組15名がRun Girls, Run!プレゼンのバトンをつなぎます。#ランガ早口プレゼンリレー
【9/12~9/23】12夜連続 #ランガ早口プレゼンリレー - キッチン!のキッチンhttps://t.co/Kby8J4H7MZ
サ終に立ち会うオタクほど面白いものはないと思います、愉悦部気分で覗いて見て、Run Girls, Run!の良さに少しでも触れてもられば幸いです。
「スノウ・グライダー」があります
参考
四季曲考察の先駆者のブログたち
「水着とスイカ」ですべての伏線が回収されるの最高だよね、と思っています - 自分を幸せにするために「水着とスイカ」ですべての伏線が回収されるの最高だよね、と思っています - 自分を幸せにするために